治療の考え方
12年間、自分の病院で治療を行った結果を踏まえ、当院の考え方を記載しておきます。


一般的には何らかの訴えがあって来院されると思います。
最近では、当院の新規患者さんの受け入れは約2−3ヶ月待ちになってしまっているので急性症状はないかと思うのですが、もしあったとしたらその時点での急性症状の緩和へアプローチします。

本来、歯科治療は全体を見て判断するものなので、そこさえ治ればいいという考え方は、当院の方針に合っていないように思います。ただざっくり全体の話もしますので、そのうえで主な訴えの痛み、症状が消えさえすればいい方や時間の取れない方はある一定の割合で存在しますので主訴が解決したここで治療が終了となります(治療介入しなかったことによる症状悪化や骨が溶けてしまうリスクはご理解ください)。

ただ、全体を見た上での今後につながる治療のご提案をしますので(他の虫歯、歯周病の進行、咬合の不安定など)できるだけついてきていただきたいと思います。その際も、過剰介入を避けながらの長期安定、早期発見長期経過を念頭に置いての対応となります。
なんせ、かみ合わせをみたりレントゲンを見たり、お口の中の現状、炎症の具合をみると大体、その歯の寿命や、その後のたどる経過をわかる立場にいる分、できるだけ、放置してしまったために、歯のことで苦労してほしくないというのが本音です。

わざと否定的な書き方をすると、虫歯になった歯は、ケアが悪いとまた虫歯になります。神経を取った歯もしっかり経過を追わないと歯がもろくなったり、折れたり、歯を抜くことつながることもあります。
そのためにも、できるだけ神経を残す治療にこだわっていますし、できるだけ全体の構造を考えて、少しぐらつくくらいの歯は抜かず、歯の力学的構造を保ってほしいと願っています。

歯を抜いて入れ歯やインプラントを入れればいいじゃないかという意見もあると思いますが、両方とも人工物です。車であったり家であったりと一緒と考えております。車もしっかりメインテナンスしていても20年持てばいいほうではないしょうか。家も10年たったら20年を目指し20年たったら30年を目指し、その間、崩れることはないにしても、劣化や補修は必要になるのではないでしょうか。その意味、インプラントも、一生健在なんてそう簡単には言えません。そういった人工物も、もちろん長く、できれば一生もってほしいですが、体がやせれば骨もやせます。そうすると支えとなる土台が揺らぐので寿命は短くなってきます。
考え方としてはまず10年もたして、次は15年、20年としっかりケアした中でのその歯の現状維持の長期化を図るべきかと考えています。

何度も言います。人工物との付き合いなので、どこかでかけたり劣化したり構造に悪影響がある場合、再度治療介入します。体も年を重ねると、目が見えにくくなったり腰が痛くなったりします。口の中も一緒です。体の変化と同様、唾液が少なくなる、他の支えている歯が折れるなどして、人工物(歯科で治療した歯)に負担がかかってきます。体も口の中も10年前と今では変わっています。その人の現在の立ち位置の正確な把握とその時点での最小限の介入が大切かと思っています。

一生を通じてその人によって異なる現在のステージをしっかり把握してできるだけ現状を維持できるようサポートをしていきたいと思っていますし、定期的にみせていただくことで、変化があった時に早い対応で、口の中が崩壊していくのを、くいとめようと思います。

こういった思いもあり、小さい虫歯には手をつけません。話だけ聞いて、無処置のことも多くあると思いますが
早期発見長期経過がみなさんにとって一番利益が高い手段だと信じています。

今までの文章から気づかれたかもしれませんが、できるだけ、その方を把握した治療をしたい、実現するしないは別として一生診るつもりで長期計画の中での現在の立ち位置の把握、ここ(当院)にくれば自分のことをわかってくれていると患者さんが思える状況を作りたいと思い治療しています。

ただ、悩みが深い方、全体的に崩壊している方は話が変わってきます。
患者さんのいろいろな想いが大きな場合、またその悩みが深い場合、できうる最大限の提案をします。それは保険治療から外れるものかもしれませんが、一番いい、一番その方のためになるという提案です。今までに書いた話と異なり、全体的な構造を回復するために意識して神経を取りましょうという提案もしますし、歯を抜いてより、歯として人工物が機能できる提案をしたいと思います。ただ、それを受け入れる受け入れないまではしっかり考えていただきたいので、話の流れの中で数か月で治療が終わってほしいなーと思っている方には無理強いをすることはありません。その場合、早々に、話を収束させ、現実ラインの話をしっかり行って治療計画をお話をしたうえで治療開始します。


例によって長い文章につきあっていただきありがとうございます。
誰もが同じ治療ではありません。「山田太郎さん」という患者さんがいらっしゃり、「令和次郎さん」という患者さんがいらっしゃいます。その方を把握した治療を行いたいと思います。

そして何よりも大事なのは予防していくこと、今の現状を悪くしないこと、ケアしていくことなのを忘れないでください。そのためには定期健診(かみ合わせや、虫歯や歯周病の進み具合の把握、歯石除去、バイオフイルムの除去を行います。)や歯石除去を行ってください。「予防歯科」のページも読み進みください。